吉祥寺美術館で手にした1枚の不思議な不思議なチラシ。そこにはあやしげなカラクリ骸骨と闘う武者の絵が艶やかに描かれていた。
「・・・・・なんだこりゃ?」
夕方5時すこし前、西武池袋線中村橋駅の近くの練馬区立美術館に入った。
山口晃展
「今度は武者絵だ!」
である。チラシによれば「ジャンル文化の壁を越え・・・伝統的なやまと絵の手法を取り込み古今東西事象風物を融合させ・・・・・メカ武者やバイク馬といったモチーフ・・・・」などと書かれ、挿入画もどう受け止めたらよいやら不可解なものばかり。
展示室1に入るとまず「無残ノ介」という絵にぶつかる。
山奥で精製された鉄が鍛えられて1本の刀が生まれる。それをふと手にした若者が魔に打たれ、鬼人となって行く先の何もかもを無残に斬り割っていく。人もパトカー(笑)もビルヂング(斬鉄剣か)も。
全てを斬ってのちついに若者は我が身を斬り刻む。我から斬ったのか?刀が彼を斬ったのか?
この無残な物語が屏風絵?風に筆で悲しく描かれている。
問題はこのあと
ここから「続・無残ノ介」が始まる。
鞘に収めても自重で鞘を、畳を、床板を斬る魔刀が、再び世に出てしまった。鍛錬を積んで魔刀に操られないはずの剣豪が刀に触れた途端に乱心。全てを、戦車砲も斬り捨てながら都に向かってくる。
迎え撃つのはこれまた不思議な武具を操る勇者たち・・・・・。
この物語が展示室1の三方を埋めて展開していく。
まるで劇画を読んでいくよう。
なんだけど、水墨画で始まりキャンバスにペンで詳細に描かれたもの、画用紙に水彩で色彩豊かに、点々と大きなキャンバスはまさに迫力ある絵画だがこれも物語のひとコマ?
壁に向かって夢中になっている自分がいる。
たまに我に帰って壁を離れると居場所と時がわからなくなっている。
のめりこむのは
男ゆえメカ好き武器好き歴史好きのせい?
漫画っぽいから親しみあるだけ?・・・まさか?
没頭しながら無意識にうなっている。
僕には芸術的素養はない。画法も知らない。だけどこんな柔らかい線(違うな)絶え入るような線(難しいな)でこの迫力は、圧倒されるのは?
と言いながら物語のラストで「ジ~~ン」ときてたりして(爆)
そこには作者のSFチックなお茶目も散りばめてあったりするのに。
大作映画を1本見終わったような気持ちで展示室1を出て、少ししてまた戻った。
「この、続・無残ノ介、は今回の展示の為に描かれたのですか?」と係りの方に聞いたらやはりそうだった。「無残ノ介」のイメージを膨らませて、大きな作品はすでに描かれたものだそうだが、その間を埋める場面を様々な手法で描いて物語を、その世界を完成させているのだ。
展示開始から1週間は全ての絵が揃わなくて物語りは未完成のままだったそうだ。ならば期間終了間際に行ったのは正解。
「他の展示室はご覧になりましたか?」
・・・・えっ?まだですよ。
「あら大変、あと15分しかないのに!」
え~~~~っ!?
僕は展示室1で1時間弱を費やしてしまっていたのだ。
展示室は全部で4つ、うそ~~ん(涙)
あとは駆け足。他のお客もドタバタしていた。
そうだよ、みんな時間が足んないのさ。
駆け足で見たほかの部屋、緻密な極彩色の成田空港は屋根瓦を載せてたり。公共広告機構のポスターやCMで御馴染み「江戸しぐさ」。すごいんだけど「続・無残ノ介」の世界には劣る気がする。
でも作者のシャレやお茶目や挑戦がいっぱい。まあそうでなきゃこんな作品は出てこないよな。
生きた馬の頭を持つバイク、バイク馬の一生を描いた九界図では、息絶え朽ちていくバイク馬からタイヤやエンジンを盗んでいく江戸庶民(!!笑)も描かれている。もう、いいとこ突いてくるよ。
でも・・・・日本美術界の重鎮みたいな方々からはどんな評価を受けてるのだろう?
(あ、その点、作者の毒針みたいな作品があったゾ)
僕はなんで受け入れられたんだろう?
より日本的なるものを求める外国人はどうだろう?
だって・・・近代設計の砲塔の低い戦車が屋根瓦を背負って走ってるんだよ(笑)
この展示は17日(祝)まで。
僕ももう1度「続・無残ノ介」を見に、そして残りの展示室を見に行きたい。チャンスは17日だけなんだけど。
この3日間、予定が無い方はものは試しに出かけてみては?
このMASSIに騙されたと思って。
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