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2006/08/10

落とされた魔人の想い

小武川キャンプの帰り道、甲州街道沿いのとある町でラーメン屋さんに入った。時刻は正しいのに日付は38日(金)を示す古い古い柱時計があり、他に客のいない店内でチャーハンが来るまでのひととき、お店のおばあちゃんが半生を語ってくれた。

娘時代、上野の軍需工場で働いたが、空襲により焼け出されて故郷に戻って来た。そして結婚し、お店を開いて60年。今では息子夫婦に任せている………と。

別に戦争の恐ろしさを訴えるとかではない。ご苦労はきっと多かっただろうに、語っているおばあちゃんは満足げだ。でもなんであの日、あんな話になったんだろう?八月は戦争の話題がよく耳に入ってくる。

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先日ニュースで「魔法のランプのジニー」という映画の話題を聞いた。原題は(解き放たれたビンの中の魔人)となる。

なんでもシカゴの中学生、スティーブン・ソター君とトレース・ゲイナー君が造った映画だという。教科書に「1945年8月にヒロシマ・ナガサキに原爆が投下された」としか記載されてなかったので疑問を持ったそうだ。「何故自分の国がそんな恐ろしいものを……」 当時のマンハッタン計画関係者にインタビューしてるというからすごい。撮影は200時間に及び、それを16分の短編ドキュメンタリーに仕上げたそうだ。

彼等は映画の中で、落とされた原爆をビンの中の魔人に見立てている。 僕の心に響いたのは、魔人ジニーに彼等が言わせたセリフだ。「俺はトルーマンにビンの中から呼び出されたんだ。で、高いとこから落とされて何だかわからないうちに爆発しちまったんだ。」 これは原爆だなんだって言っても、それらは全て人間の行為だという強烈なメッセージ。

だから実行者ばかり責められまい。 開戦に至るを防げなかった全ての当事者に責任を帰するほかないのではなかろうか。

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頭蓋の片隅に引っ掛かる記憶があって、小松左京の「復活の日」を読み返してみる。

そしてそれは……あった。

アメリカ国防情報局のF中佐が、海辺に落ちてる瓶の蓋を空けると猛悪な魔人・ジンが出て来て、開けた人間につかみ掛かるという、アラビアンナイトの話を思い出すというくだり。F中佐は、原爆実験、水爆実験、ICBM開発、などの度にその魔人の話を思い出す。F中佐はかすかに不安を感じるからその話を思い出すのだが、人類はなんとか魔人のコントロールの道を見つけるものだと思い直して自分を安心させている。

しかし「復活の日」では溢れ出た魔人をコントロールしきれなかった。

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